広島ハーネスの会ふれあい交流会』

『広島ハーネスの会「ふれあい交流会2003」に参加して』

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日時:2003年4月20日
場所:チチヤスハイパーク(広島県佐伯郡大野町)

盲導犬9頭、ユーザー、広島ハーネスの会役員、ボランティア、一般参加者の
総勢約50名の参加。

 さて、広島ハーネス主催の交流会は、春のふれあい交流会と秋の広島県盲導犬使用者交流会の年,2回である。
 当日の天気はこれまで、3回連続の雨天であった。

 今年最初の春の行事のお天気は、前日からの雨が、当日も朝から降りしきっていた。
 これで4回連続の雨天となった。
 なんと、巡り合わせが悪いのか本当に不可思議な現象ともいえる。
 盲導犬ユーザーとなって特に感じることは、雨の日の外出ほど嫌なものはないのである。

★ 本題からちょっと外れて、雨天の功罪について触れてみたい。

 視覚障害者が外出する時、外の状況判断は、聴覚に頼るウエートが、大きくなる。
 そのため、雨が降ると、道路を走る車の音と水分をはじく音が異状に大きくなる。
 音が異状に大きくなると、次の動作に移るまでの注意確認が、ワンテンポ遅れることになるのだ。
 つまり、音の静まるのを待ってから歩行動作に入ることになる。この時差を無視することは、事故の最大の原因となるのだ。
 また、雨天の日の風による聴覚の抵抗も非常にバリアとなるものだ。
 雨の日は、傘を差さないと濡れてしまうので、さすのは当たり前であるが、盲導犬と外出する場合、左手にはハーネスを持っているので、右手で傘を持つと両手ふさがりとなり、何かと行動の自由が奪われるため、極めて不便なのである。
 これは、盲導犬ユーザーとなってみなければ理解されないかもしれない。
 その他、パートナーの犬が雨に濡れると、足首は泥を跳ねるし、レインコートを着せていても、体をブルブルとさせ、他人の迷惑になるケースが多くなる。
 このような外出の際、パートナーの汚れを拭くバスタオルを忘れてしまうと大変である。
 強いて挙げれば、タクシーの乗車拒否、レストランでの受け入れを断られる場合もあるのだ。
 つまるとこ、デメリットばかりとなるので、本当に辛いの一言である。
 とは行っても、外出しなければならない日もある。
 こんな時は常に、心の余裕を持って行動するのが最善かもしれない。
 とにかく、ストレスを感じることだけは禁物なのだ。

 この辺で、本題に戻ることにする。

 当日、広島市内のユーザーは、JR広島駅前の南口にある音声時計のある場所に集合して、一緒に行くことになっていた。
 目的の場所に到着すると、広島ハーネスのHさんとKさんが声をかけてくれた。
 三頭のユーザーさんが集まる度にパトリックは、大はしゃぎでお迎えをしていた。

 今回の盲導犬参加は、12頭の予定とのことであったが、雨天のせいもあって、9頭となったようである。

 午前10時5分、広島駅発の山陽本線下りに乗車した。
 同じ車両にパトリックも含め、4頭が一緒になったが、バタバタと5分ぐらい騒いでいたのは、何を隠そう「パトちゃん」だけであった。
 いつものパトちゃんは、 JR及び、バスなどに乗車した時の状態は、静かに伏せているのである。

 しかし、パトちゃんだけが興奮しやすい性格なのだろうか?
 他のワンちゃんは、「ちょっと静かにして欲しいな」と言いたいかのように無愛想に静かにしていた。
 こんな所は、盲導犬らしくないと思われるだろうが、愛嬌たっぷりのそんなパトちゃんが、私は大好きである。

 ほどなく10時32分、下車駅のJR前空駅に到着した。
 前空駅前から歩くこと約20分、空模様は小雨となっていた。
 チチヤス牧場に近づくと、雨で芝生が、かなり濡れていた。
 スニーカーの足音が、「ビシャ、ビシャ、ビシャ」と・・・。
 それでも、傘をさす程の雨ではない。

 パトちゃんは、喉が渇くのだろうか? 何回か道端の雑草をむしって食べていた。
 その度に「パト、NO!」の繰り返しであった。

★ ここで、目的地の「チチヤス牧場」について少し紹介してみたい。

日本三景の宮島口から約1km、見晴らしの良い高台にある遊園地。
 緑の中を走るゴーカートやミニSL、羊や牛が遊ぶ小さな牧場など自然がいっぱい。
 1万本の桜が咲く春、ウォータースライダーや波乗りプールで遊べる夏は、特に人気がある。
 春の梅、桜も有名で、園内にソメイヨシノから八重まで1000本の桜がある。

 本日の交流会では、この花見の時期が過ぎているので、当たり前だがさくらの花は皆無であった。
 牧場の中には、芝生が広がっていて、とても気持ちがよかった。
 でも、雨天のため、芝生が水を含んでいるので、イマイチ惜しまれるところであった。
 牧場内では、牛や馬が見られる。
 牛舎の前に着くと、ボランティアさんに説明してもらった。
 えさを食べる大きな牛にパトリックは、びっくりしたのか? しっぽをブンブン振って覗いていた。

 園内には、レストランもあるが、おべんとうを広げて食べる広場や芝生がたくさんある。
 午前11時頃、レストハウスに到着した。
 全員が一人ずつハンドマイクを持って、自己紹介をし終えると、昼食である。

 ボランティアさん達と、なごやかに歓談しながら、持参してきたお弁当をいただいた。
 雨が降っていないと気分爽快なのだが、それでも少しの安堵感に浸っている自分がいた。
 食事後、ボランティアさんに記念のデジカメ写真を撮ってもらった。
 その後、パトリックの排便を済ませて、水を飲ませることにした。
 バケツに汲んだ水をバシャバシャとうまそうに飲み干した。余程、喉が渇いていたのだろう。

 昼食後、盲導犬に関するクイズのコーナーが始まった。
 それから、盲導犬とボランティアさんとで、リレーゲーム・ばつゲームや、盲導犬の特技や服従訓練などを披露した。
 これは、ボランティアさんや一般の方にとって興味ある時間だったのではないかと思った。

 時の過ぎるのは早いもので、この場所で解散となった。
 毎度、感じることであるが、こんな楽しい時間をボランティアさん達と一緒に過ごせるのは、盲導犬ユーザーになってからである。
 それまでは、家に引きこもりがちであったが、自由かつ、安全に外出できる満足感をGetすることができた。
 とりわけ、楽しい交流会に参加できる喜びを味わえる幸福感は、視覚障害のバリアや
苦痛を憶えることなどまったく無いので不思議である。

 かくして、春の交流会の思い出の1ページが、また追加された。

 ところで、視覚障害者は、日本全国で約35万人、そのうち重度視覚障害者(1級、2級)は、約13万人である。
 全体に占める割合は、およそ千人に一人が全盲または、重度の弱視なのである。
 一方、盲導犬の数は、約900頭しか普及していないのだ。
 これは、あまりにも少なすぎるのではないか?

 盲導犬は、視覚障害者の自立と、自由な社会参加の促進にきよするところ大なのであるが、何故に、自発的に盲導犬を持ちたいという認識が無いのだろうか?。

 これまで、盲導犬の理解を深めるための啓発・啓蒙活動は、先駆者の努力により、社会一般の方々にアピールし、受け入れられてきた。
 念願の身体障害者補助犬法も2002年から施行された。

 しかし、いまだに盲導犬は賢いという反面、可哀想というようなイメージを一般の人は認識しており、ユーザーの立場をフォーカスされていない。
 つまり。盲導犬の方だけにスポットが当たっていて、視覚障害者の立場をイメージされていないというのが現実問題だと思う。

 今後の啓発・啓蒙活動は、盲導犬であれ、介助犬であれ、聴導犬について、身体障害者自身の立場を踏まえた上で、障害者理解のためのメッセージを重点的にアピールしていく必要があるのではないでしょうか?
 そんな時期が来ているのを実感しています。

 また、現実に埋没している身体障害者自身が、積極的に自立と自己主張に目覚めて欲しいと思うのは私だけではないでしょう。
 そのためにも補助犬の理解を正しい認識として念頭に置いて欲しい。

 最後に、 盲導犬は、「可哀想」ということは非常にナンセンスな話です。
 盲導犬は単なる歩行の安全だけではないということ、心の中に暗闇から喜びに満ちた光や元気パワーを与えてくれる存在であるということを知って欲しいのです。


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