ふれあい交流会に参加して


 『広島ハーネスの会・ふれあい交流会に参加して』



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2002年4月21日



 ガイドドッグ・ユーザーになって1年半が過ぎた。
  歩行の自由や日常生活のうえで元気の出るパワーを与えてくれたパトリックに感謝したいところである。
 目指す本物の信頼関係にはまだまだの感がある。

 恒例の広島ハーネスの会「ふれあい交流会」に参加した。
 今年で3回目の参加となり、パトリックとは2回目である。
 盲導犬12頭、ユーザー、広島ハーネスの会の役員、ボランティアさんの総勢約60名の参加であった。

 私は、最近のパトリックに対して、成長してきたなと素直に思っていた。
 しかし、この思いもこの後、もろくも崩れ去ってしまうのである。

 交流会参加の日は、朝から小雨が降りしきっていた。
 いつものように近くの公園で排便を済ませた後、JR矢野駅へ小雨の中、向かい、快適に歩行して矢野駅に到着した。
 駅から約15分で呉ポートピア駅に到着して、列車から降りると騒々しい声、盲導犬及び、ユーザーさんがホームにいた。同じ車両に乗っていたのであった。

 ここから、パトリックがいつもの状態で無くなったのである。
 他の盲導犬が気になって興奮状態になってしまったようである。
 環境の違った場所や他の犬と接触すると興奮して、引っ張りが強くなるのは今迄何回か経験をしてきたが、この状態を抑えきれないままであった。

 呉ポートピア駅前から引っ張りの強いまま数分歩くと公園内のハウスに到着した。
 この日、別の会場で結婚式が開かれていた。賑やかな歓声が時折、聞こえてくる。
 ふれあい交流会の会場は60名が入っても少し余裕のある広いフロアーであった。
 中に入ると、宴会形式のテーブルと椅子があった。
 午前11時を過ぎた頃、司会者から案内があり、盲導犬ユーザーとボランティアさんとのグループに別れてそれぞれのテーブルの椅子に座った。

 参加者全員の自己紹介の後、休憩時間の昼食中もパトリックの興奮状態は続いたままであった。
 左右にいる盲導犬にちょっかいを出している。「ノー、ダウン」を何回か繰り返した。

 今日は朝からの雨天のため、野外でのスケジュールは中止となり、クイズのコーナーが始まった。
 これは盲導犬に関するクイズで、盲導犬ユーザーは答えてはいけないというものであった。早く正解を答えた人には景品が貰えるもので、会場は大いに賑わった。

 その後、盲導犬ユーザー全員にパートナー紹介と挨拶の時間となり、それぞれのユーザーが、話をする時間となった。

 マイクが回され、 それぞれが近況報告をしていたが、ある人は、パートナーの自慢話をしていた。
 自慢話は、受け取る人によっては不快に感じるものである。
 私もその一人であるが・・・。

 私は常々、パートナーとの関係について、理想と現実の狭間にあることを思っていた。
 自分のパートナーを自慢するというのは、信頼関係に確信を持てたからの発言のような気持ちとなっているのであろうか?
 そのような発言をすることは、その人はユーザーになって、それ以上の進歩は望めないものと推察する。
 他人からの干渉や忠告も拒絶することであろう。
 私なら、もしもこのように信頼関係に確信が持てる時期が来ても自慢するような発言はしないと思う。

 何人かの発言の後、マイクは私に回された。
 私は元来、人前での話しは苦手で、ちょっと緊張するたちである。
 パトリックと一緒に発言の場所まで案内された。

 この時もパトリックは、興奮状態が続いており、私が「ダウン、ステイ」と命令したが、バタバタとして落ち着きがなかった。
 私は簡単な自己紹介とパートナーのこと等について述べたが、じっとしていないパトリックが気になって仕方がなかった。

 こんなパートナーとの様子をどのように思われたか知る由も無いが、私自身、情けない気分でしかなかった。
 改めてパートナーとの信頼関係の甘さを否定できないでいる自分がいた。

 盲導犬は、賢くユーザーの命令には忠実でおとなしくじっとしているという先入観を持たれているものと思うが、私はそれに反する状態でも、ありのままに語りたいと思った。
 パートナーがじっとしていないのは、詰まるところ私の責任なのであるから。

 話をした後、自己嫌悪に陥ったが、見栄をはることなく自分らしさを忘れない姿勢で今後も前進するのみである。
 毎日の経験の積み重ねを大切にしたい。
 パトリックとの新たな1ページは、こうして幕を閉じた。

 自宅に帰って、ちょっと弱気になった自分がいた。
 昨晩は寝付きが悪かった。
 この書き方は、NHKの「プロジェクトX」の影響を受けたかな?

 最後に私とパトリックの名誉のため付け添えておきたいと思います。
 上記のようなことは、いつもの状態ではありません。
 現状に満足しているだけでは、向上心も湧いてこないので、この日における出来事について、あえて記述しました。



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