あとがき

　 【あとがき】

参考文献

『ハーネス　光と愛の絆』（大澤美実著、ＫＫティーエイチシー）
『私は盲導犬イエラ』（日比野イエラ著、ミネルヴァ書房）
『盲導犬カンナ、わたしと走って！』（坂井ひろ子著、偕成社）ほか
朝日新聞、中部日本新聞、西日本新聞、西日本スポーツ新聞、日本経済新聞、毎日新聞、読売新聞ほか
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　百頭達成までの記録を

　��あとがき��

　財団法人福岡盲導犬協会は今年で設立十五周年、前身の九州盲導犬協会を含めると十七年の歴史を刻んでまいりました。正金相互銀行（現福岡中央銀行）元社長、故・鶴喜代二氏が設立した同協会は緒方豊吉現理事長らに引き継がれ、視覚障害者の目となり友となる盲導犬を毎年提供しつづけてきました。
　その数は現在九十一頭、無償貸与された八十余人の視覚障害者が盲導犬によって自立への一歩を踏み出されています。早ければ年内、遅くても来春には百頭を実現できる見通しです。
　ひと口に百頭といっても並み大抵のことで達成できる数ではありません。長い間の協会、訓練センターの努力、支援を続けられた方々があってこその成果といえるでしょう。
　盲導犬育成事業は、子犬を繁殖させる人、家庭に預かって育てる人、育成費や協会運営費に要する資金を浄財として寄付していただく諸団体や企業、一般の人びと等、じつに多くの人の理解と支援によって維持されています。
　その福岡盲導犬協会の中心となって努力された緒方豊吉理事長は今年二月に理事長在任十年、九月には八十五歳を迎えられます。社会奉仕を信条とするライオンズクラブの長老でもあります。
　鶴先代理事長に請われて専務理事に就いて以来、長く無給奉仕をつづけるなど協会発展のために骨身を削ってこられ、ようやく一区切り付けたというところです。その労苦に少しでも報いたいと考える有志は少なくありません。
　そのような声に押され、不遜も省みず、緒方理事長や協会を支えてきた人びとの足跡をたどり、併せて盲導犬事業の啓発にも役立つような記録の出版を計画しようと思い立ちました。人びとの善意が百頭達成の原動力になったことを、ぜひ記録にとどめたいと思うのです。
　この本は、緒方理事長が銀行生活から百八十度の方向転換をして盲導犬育成という未知の道を手さぐりで歩いていく姿をタテ糸に、協会の歴史や盲導犬と結ばれた視覚障害者の感動的な記録なども折り込まれています。そして、協会への支援を惜しまないライオンズクラブなどの諸団体、個人の尽力ぶりにもページを割いています。麻生福岡県知事からも序文を頂きました。
　なお書名の『光の騎士となれ』は１９２５年、聖女ヘレン・ケラーが米国で開催されたライオンズ世界大会で視覚障害者の救済を求めて訴えたときの有名な演説の結びの言葉「ライオンよ、闇を照らす光の騎士となれ」から採用しています。無償の奉仕の素晴らしさを本のテーマとしたいためです。
　小生は、かねがね緒方理事長の人間と仕事に敬意を持ち、いくらかでも盲導犬育成の足しになればと、平成四年、小生の会社の関連会社や地域の有志を集めて「財団法人福岡盲導犬協会を支援する会」を設け、協会に若干の支援を続けてきました。そして今回、出版の計画を思い立った次第です。
　執筆は元西日本新聞社記者、坂井美彦氏に依頼しました。夫人の坂井ひろ子さんは『盲導犬カンナ、わたしと走って！』の著作で福岡盲導犬協会とも縁が深く、ともに盲導犬育成に関心を持たれている方です。
　この著書は、盲導犬育成に関わる人びとの奉仕の心を描いています。多くの人びとに読まれるのはもちろん、各会社・団体やライオンズクラブなど奉仕団体の皆様が積極的に活用されんことを願ってやみません。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　平成十年　　夏

　　　　　　　福岡盲導犬協会を支援する会代表
　　　　　　　福岡盲導犬協会相談役
　　　　　　　筑紫ライオンズクラブ副会長
　　　　　　　（筑紫野市二日市６２５－１　青山地建株式会社
　　　　　　　電話９２８－６７６７）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　青　山　義　雄
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　筆者略歴　宮崎県出身。九州大学経済学部卒。昭和二十九年西日本　　　　　　　　　　新聞社入社。大分総局長、社会部長、北九州支社編集長、論説委員などを経て平成三年西日本リビング新聞社常務取締役などを歴任。

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