発刊に寄せて


  
【発刊に寄せて】



 
福岡県知事 麻生 渡 
  

 『光の騎士となれ』のご出版、まことにおめでとうございます。
 本書では、盲導犬の育成過程や、それに関わる多くの方々のご苦労が紹介されており、ボランティアの方々のご協力を得てはじめて、視覚障害者の目となる盲導犬が誕生することがよくわかります。
 盲導犬として育成される犬を生ませる繁殖ボランティア。子犬を預かり愛情いっぱいに育て、人間との信頼関係や人間社会のルールを学ばせ、盲導犬としての資質を身につけさせるパピーウォーカーと呼ばれる飼育ボランティア。また、訓練所の維持経費をはじめ、訓練に関するさまざまな費用も、多くがボランティアなど一般の方々の寄付でまかなわれています。そして、視覚障害者の目となって街に出た時に、視覚障害者や盲導犬に対する人々の温かい理解があってはじめて、盲導犬としての役割が果たせるのです。
 県民の手で育てられ、県民の理解によって社会に受け入れられる存在であり、盲導犬の育成・貸与事業は、まさに県民参加で盛り上げる福祉の象徴といえるでしょう。
 日本における盲導犬の普及や盲導犬に対する社会の理解は、米国や英国に比べまだ遅れていると言われており、視覚障害者の自立と社会参加促進のためにも今後とも盲導犬を増やしていくことが重要となっています。盲導犬の育成は、地道で根気のいる仕事と伺っております。このような状況の中で、盲導犬育成・貸与事業に情熱を燃やしてこられた福岡盲導犬協会の緒方理事長の生涯を中心としてまとめられた本書が出版されたことは、まことに意義深いことであります。
 本県としましても、盲導犬の育成事業を支援しているところであり、今後も本事業の推進に協力していく所存です。
 盲導犬協会とその関係者、並びに、この協会の仕事を温かく見守り、さまざまなご支援をいただいている多くの方々に、心から感謝を申し上げます。
 「一頭でも多く、一日も早く、より優秀な盲導犬を」という理事長の言葉のもと、より多くの方々の応援により、この育成事業がますます発展されますことを祈念いたしますとともに、暗闇と闘われている視覚障害者の皆さんの前に明るい光が差し込むことをお祈りいたします。


平成十年九月


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