出会いから一年の計



 
【出会いから一年の計】



★  パトリックとの一年を総括したいと思います。

 振り返ってみるとこの一年間、色々なことがありました。
 目が不自由になって、自分から積極的に外出できるようになったのも盲導犬ユーザーになってからのことです。
 ユーザーになる前と比べて、生活のリズムが一変しました。最初のうちは、正直つらいと感じることはありましたが、パトリックからもらう元気パワーのお陰で、本当に健康的な生活を取り戻し、視力低下による不安から解放されたような気持ちです。

 服従とか一体感については、今後も取り組むべき課題がまだ多く、現状に甘んじることなく更なるレベルアップを目指して向上を図りたいと思います。

 さて、盲導犬ユーザーの中で失敗を経験したことのないという話を聞いてみたいものですが、大抵のユーザーさんは、何回かの失敗を繰り返しているものと想像します。
 今回は、この失敗について私の失敗例を記述したいと思います。

1.排便の失敗

 訓練卒業から二ヶ月間は、月1回、歩行中にハーネスを装着したまま緊急排便(大便)をさせてしまうという、憂き目を見ました。
 もちろん、ハーネスを外しましたが、間に合いませんでした。その場でチョークにより叱りましたけど・・・・

原因として考えられることは、パトリックの体調の見極め不足と定期的な排便時間について、私の認識不足にありました。
 動物病院での健康診断と、獣医さんのアドバイスによりフードを色々代えてみた方が良いとのことで、3種類のフードを試してみました。
 当初、与えていたフードの場合、大便の回数が普通で3回、多い日は5回ありました。下痢をした事は1回だけありましたが、フードの食べ残しは現在まで1回もありません。
 3種類目のフードに代えた現在、排便(大)は、平均2回弱となり、パトリックの体調も良好です。
 以後、歩行中での排便の失敗は無くなりました。

 また、ワンツーベルトの使用についても2ヶ月位前からですが、随時、装着使用を試みています。これにより遠出の排便時による不測の事態に対処できるものと思っています。


2.ハーネス歩行中の失敗

 そろそろ慣れ始めたと思われる三ヶ月後に失敗を経験しました。
 いつもの散歩コースとか、頭の中に地図がある道を歩行するそれ以外の道を進んでいた時、私の気の緩みがありました。
 直進した後、右に曲がろうとしたところ、そこにはフェンスが無かったため、高さ約1メートル下の道路へ落ちてしまいました。
 落ちる瞬間は、歩いていたそのままの状態で着地したため、幸い少しのかすり傷程度で済みました。これが谷底だったらと思うと、ぞっとします!
 落ちたのは何故か? 私とハーネスだけで、パトリックは足を踏ん張っていましたので、上から私を見下ろしていました。多分、パトリックは笑っていたのだろうと思いました。ハーネスが外れて、私はそれをしっかり握っていたのには本当に驚きました。
 この失敗は、パトリックを信頼していなかった証明でもあります。
 この場面でパトリックを叱りましたが、どちらかというとパトリックが立ち止まったことに気付かない私の失敗です。後から考えてみると、その場で褒めてやらないといけなかったかもしれません。
 少しの気の緩みでもパトリックとは、命綱ともいえるハーネスに集中を怠ると生命の危険が待っているということを思い知らされました。

 現在もちょっと体調の悪い場合等、考え事をしていると、気が付いたら300メートル位、歩いていたりします。
 良く言えば無心の境地、悪く言えば「ボケ」の兆し?
 これは別の問題?かもしれませんが、今後もハーネスに集中しない時がまま、あるので、充分な注意をしなければいけません。

 「失敗は成功のもと」と言いますが、失敗してみて、今後の対策として同じ失敗を繰り返さないように努力をしなければいけない。
 失敗を成功に転換しなければ、その次の失敗は、下手をすると命にかかわる事故につながるかもしれない。
 最初の失敗は、飽く迄も経験なのだと思います。
 この経験を活かすか否かは、ユーザー自身の問題なのです。


next  次のページへ。

トップページへ戻る  トップページへ戻る。