誉めることと叱ること



 
【誉めることと叱ることのけじめについて】



 盲導犬ユーザーとなってから、早いもの出、3ヶ月になりました。
 今、一番の課題としては、誉めることと叱ることのけじめが使用者と盲導犬にとっ
ての基本であり、いかに大事であるかを改めて痛感していることです。
 最初のうちは、Good!とNOは、盲導犬に対する命令としては、あまりにも頭
の中で、簡単に考えていました。
 ところが最近、この命令こそが、盲導犬ユーザーとして、本当にパートナーと一体
感を持てるかどうかのキーワードであると思うのです。
 頭の中では、大体のことは分かっているつもりでも、リーダーの命令や心が、自然
にパートナーに伝わることが、理想であるのです。

 福岡盲導犬協会訓練所の共同合宿では、このことについての重要性を、講義及び、
服従訓練・歩行訓練中での場面で、教えていただきました。
 私が訓練中における問題点としては、服従訓練の甘さを何回か指摘されました。
 訓練が3週目に入って、そろそろ盲導犬との一体感が分かってきたと思い始めた矢
先のことです。
 パトリックが感染性の気管支炎になってしまい、二日間、別の盲導犬での訓練を余
儀無くされました。パトリックを含めて3頭が同じ病気にかかりました。
 これは訓練所始まって以来のことだそうです。
 その間、パトリックは訓練所のゲージの中で、私の声が遠くで聴えるたびにウーン
、ウーンと泣いていたそうです。このことを訓練士さんから聞いて、パトリックの私
に対する思いは特別なものを感じ、感謝の気持ちを込めて、元気になったらこれまで
以上に誉めてやろうと思っていました。
 この点については、違った意味で、泣いてほしくないところでもパトリックは現在
もウエイトは苦手のようで、未だに泣きのパトちゃんですが、これも徐々に直してい
きたいと思っています。
 三日後に復帰してはきましたが、完治するまでは、三週間はかかりました。
 復帰してからも、痰がらみの咳がとても苦しそうで、服従訓練での叱ることについ
て、非常に甘くなりました。
 叱る場合は、ケースバイ、ケースですが私の命令を危険な場面等や日常の服従心に
ついて、受け入れようとしない時は、適宜、リードでチョークするのですが、これを
手加減していたのです。
 当然の結果ですが、服従心が崩れてきたのを実感しました。

 歩行訓練の時は、パトリックは優秀な犬で、歩行テストも無難にこなしたので、何
とか、こんな悪条件でも幸いに延長無しの卒業式を迎えることができました。
 広島に帰ってからが、本当のスタートとなりましたが、最初のうちは排便について
、非常に悩まされることが多かったです。
 その次は、いたずらについても悩まされました。 引き出しの角をかじられて、中
の大切な書類をめちゃくちゃにされたり、床のタイルを30センチ四方を噛みちぎられ
ました。
 同じことを繰り返されることについては、予め他のユーザーさんの話を聞いていま
したので、ある程度は覚悟していたつもりでもこれ以上、エスカレートしてしまって
は、詰まるところユーザーの責任なのです。
 今年になってからも、いたずらが続くようなので、ここらで、本気で、パトリック
に愛のむちを打ちました。
 これが少しは効いたのか、主人の厳しい姿勢を素直に感じてくれたようです。
 盲導犬は目の不自由な人の歩行の安全が第一だということだけではありません。
 冒頭に掲げたことがクリアされてから、初めて、私の目指すレベルを超えたユーザ
ーになれるものと確信しています。
 以上について、若葉マークに甘えることなく、今後の取り組むべき最大の課題だと
いうことを思い知ると同時に努力を怠らないようにしたい今日この頃です。


next  次のページへ。

トップページへ戻る  トップページへ戻る。