21世紀に向かって



 
【21世紀に向かって、パトリックとの出会い】



 パトリックと初めて対面したのは、福岡盲導犬協会訓練センターの共同合宿三日後の10月5日のことでした。
 パトリックを紹介された時の、印象は 全く吼えることもなく自然な感じで顔合わせをしました。第一印象がすごく良かったので、これからの訓練とその後の生活に向けて一生懸命頑張ろうと気合を入れたものです。
 訓練の合間で盲導犬についての様々な講義を受けました。
 繁殖ボランティアさん、パピーウオーカーさん、訓練しの皆さんの愛情で育まれた盲導犬は、良い血統の犬の中でも3割から4割位しかなれません。
 このように優秀な犬が盲導犬として、視覚障害者の目となり、足となって私達の外出を安全に導いてくれるのはご存知のとおりです。。
 訓練が終ってパトリックとの新しいスタートが始まり、早いもので、二ヶ月になろうとしています。パトリックの二ヶ月は人間の1年に相当します。
 最近、ようやくパトリックの心が少しづつ読めるようになってきたのを実感しています。排便、散歩の前にはパトリックが、座ったままこちらをずっと向いているのです。
 そんな時、パトリックに声をかけると、ウーン、ウーンと泣くので、「散歩に行くよ!」と言ったら、しっぽをビュンビュン振って喜んでくれます。
 訓練前の生活は、寒くなるとこたつの中に入って、テレビやラジオを聞いて家の中で過すことが多かったことを思うと、生活スタイルが一変しました。
 特に午前中の寒さには弱い私ですが、パトリックと一緒に出かけるのは、寒さも忘れてしまうので不思議です。
 一番関心するのは、パトリックにハーネスを装着した時です。その後はスーパー犬に変身するのです。私の命令に一生懸命に応えてくれます。
 私の左側で、「チャカ、チャカ、チャカ」とパトリックの足音がコンクリートの歩道に快く響きます。
 前方は、まるで霧の中を冷たく気持ちよい空気に包まれて軽快に歩いているようで、程よい心地よさを感じます。
 横断歩道、脇道、階段の近くでは、首を左右に振って、安全確認をして私を危険な場面から守ってくれます。本当に、私のため、従順な姿勢には、感動もんです。
 帰る頃には体中がポカポカとしてきます。。
 自宅に帰った時は、いたずらをして叱った時の10倍誉めてやります。

 今日は今世紀最後のクリスマスイブです。
 過去の苦しかった思い出を振り返ってみても仕方がありません。
 「苦あれば楽あり」と言いますが、楽をするためでは進歩がありません。
 今後の人生は楽しく過せるものと確信しています。


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